『ミッドナイトスワン』の内田英治監督が1980年代後半の映画製作現場の舞台裏を描いた人間ドラマ。1988年、とあるスタジオ。まだ男尊女卑やパワハラの匂いが残る時代。女監督の花子は、エロ映画を撮影することになり…。dmm.com解説より
まあ佳作ですね。この佳作基準から楽しめるかどうかは人に拠ります。筆者は楽しめた。yahoo!レビューの総合点は、2.6点(5点満点で)と低評価。そもそも劇場公開ではなく、21年に配信で初公開とのことで見てる人がたいへん少ない。
先に「男の裸」言っておきましょう。劇中内で繰り広がれる映画製作。映画初出演のアイドル男優がいかに濡れ場を演じるかが注目される。アイドル男優を演じるのは須賀健太。ホリプロ所属の27才。筆者の認識は無かったが、名前と面影に何となく記憶にあるなと思って調べたら映画「三丁目の夕日」の子役だった方ですわ。
いや、頑張ってますよ。全裸で後姿全身。ケツの数カットでまるまる見せてるし、女優との濡れ場も色っぽく見せてる。前張りを「こんなもんいらん!」と取って捨てるシーンなんてほれぼれしますね。ただどこの評かは失念しましたが「若いんだからケツの筋肉締めろよ」という意見には同感。
この作品ね、もっと面白く、いや感動作まで上げられる要素はいくつもありますよ。脚本はベタだが集団作業の良さの要点は押さえられているし、要所要所で決め台詞もある。このそこそこ良く出来てる脚本を、監督の演出が生かせなかったんだろうと思っていたが、なんと、監督、脚本、共々、内田英治氏ではないの?どういうことでしょう? 煮詰める時間が無かったのか、元々力量不足か?
この作品、近年邦画の「なんとか委員会製作」とは違って、東映と東映ビデオの2社、つまり東映の製作だ。主に配役に当たって、あちらこちらの会社に気を遣う必要が無かったんだと推測します。ですので、まことにユニークなキャスティングになってる。キャスティングプロデューサーの名も挙がっている。
さてこのキャスティングだが筆者にとってはまことに不思議に映る。メインの俳優部、演出部の俳優は高橋和也以外は馴染みが無いか知らない方ばかり(筆者にとって)。逆に脇に個性派揃えてる。具体的には、濱田岳、相島一之、本田博太郎、大和田伸也、ふせえり、などなど。それで彼らそれぞれに軽く見せ場があるのだが、十分生きてるとは思えない。濱田岳なんて主役級だぞ。それらしき長セリフはあったけど。本田博太郎なんて例の口調で「脚本家の許可を得るように」と言うだけで終わり。ゲスト出演みたいなもん。
つまりこの映画のスター性は、上から、濱田岳、高橋和也どまり。まあ予算の問題、役そのものの問題等々あるだろうが、劇中映画製作の「どこまでエロスを出せるのか?」というテーマに乗っ取り、劇中映画の主演女優、男優をインパクトある俳優をキャスティングして欲しかった。
いや、脱ぎの2人、女優、男優、共、よくやってます。けなすつもりはサラサラないです。が、例えば女優、落ち目の往年の女優との設定。ならば、貫録を出すのではなく、あえておしとやかで品があり、ここぞというところで、実績を背景とした啖呵切り。それなら「流石!」という印象になっただろう。これは演出と俳優の役作りの問題。
アイドル男優にしても「この人はアイドルですから、よろしく」といった設定ではなく、一目でアイドルと思わせる(無名でもいいから)俳優を起用すべき。まあ2人共素っ裸だから「これをやります」という売れてる俳優は難しいかもしれないが。これらキャスティングに関しては、この作品の最初に感じる欠点でしょう。
あと苦言を言わせてもらえば、せっかくの決め台詞をしっかり演出できていない。ラストのダンスも明らかに練習不足と言うか、決めようと言う気構えが感じられません。良い題材だけに楽しめたが惜しい作品です。
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配信は、
U-NEXTとAmazon プライムビデオ で見られるが、Amazon プライムビデオが不思議で、「R18版」と「R15版」との2種がある。筆者が見たのはwowowで、R15版のはず。これでもけっこう露出度は高かったので「R18版」に期待します。
・Amazon プライムビデオ
雨に叫べば(R18版)・Amazon プライムビデオ
雨に叫べば(R15版)
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