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サントラ・ジェームズ・ボンド・映画音楽アートの研究・映画コラム

「ジェームズ・ボンド映画」のサントラを中心に、映画音楽、映画批評、アートなどを述べていきます。映画コラム・写真集などあります。

PERFECT DAYS



『PERFECT DAYS』(パーフェクト・デイズ、原題:Perfect Days)
 
2023年製作/日本・ドイツ合作/2時間4分
監督:ヴィム・ヴェンダース
製作:役所広司、柳井康治
出演:役所広司、柄本時生、石川さゆり、三浦友和、田中泯
 
■見どころ
多彩な日本の公衆トイレや街並み、日常をドキュメンタリーのように捉えたヴェンダースらしい繊細な演出、そして日本を代表する俳優・役所広司の存在感に引き込まれる。
 
■ストーリー
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山は、静かに淡々とした日々を生きていた。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。そんな男の日々に思いがけない出来事が起きる。(U-NEXT解説より)

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まず始めに上記のストーリーの文面「思いがけない出来事が起きる」のところ、ソースが同じなのかどのサイトも同様な表現をしていますが、ハッキリ言って正確ではないですね。作品で描かれる出来事は日常の一コマに過ぎません。これはこちらで一言申し上げておきます。

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そして、大変申し訳ないのですが、今回は「男の裸」はおざなりです。何故なら男の裸があることはあるんですが、どちらかと言うと今作品の感想を述べたいがために映画『PERFECT DAYS』を取り上げています。
男の裸を先に申し上げましょう。役所広司の銭湯シーンの全裸です。役所氏もそれなりの年齢ですから年齢に見合った裸です。数カットの全裸、長いのは1シーン。それだけです。取り立てて男の裸云々と言うことではありません。日本合作ですので股間は見えません。

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さて映画『PERFECT DAYS』ですが、まあ傑作と言っていいと思います。ちょっと厳しめに見ても限りなく傑作に近い秀作というところでしょうか。Yahoo!映評では、総合点4.1(5点満点で)と高評価になっている。



監督はドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。筆者は1980年代からヴィム・ヴェンダースが名匠であることは知っており、さてこれまで何の作品を見ていたのだろうとフィルモグラフィーを見て若干ビックリ。1970年代から名作とされている有名な作品数本を含め、現在まで50本程度の監督作品があるが、結局、筆者は1本も見ていない。今作『PERFECT DAYS』が初めてのヴィム・ヴェンダースとの出会いでした。まあそれはいいとして。

流石、名匠とか巨匠とか言われてる監督の作品だなと身に染みて思いましたわ。分かってるね。これはもちろん監督だけの力ではないけれども、監督の立場で全体を仕切ってる人としては、「映画の作り方」「表現の在り方」「芸術の立ち位置」、これらを分かっている。映画『PERFECT DAYS』は、それらが見事に表現されている。

話自体はどうということは無いですよ。初老のトイレ清掃員の日々の繰り返し。ただ日々、違ったエピソードが現れる。それも取り立てて大きな事件とかではないし、それを強調して描いている訳ではない。ただそれら日常の何気なさを全体図として受け止めた鑑賞者は、人生の重みをドーンと感じることとなる。

これはねぇ、監督の手腕と役者の演技力と、撮影の的確さなどの成せる技なんでしょうね、と言うほかはないなぁ。まず、ディテールを的確に表現している。主人公の使う道具の置き場所や自動販売機で缶コーヒーを買う日常、日々の天気の移り変わりなどなど。それらの的確な表現が主人公の人柄、話の基礎(話と言うか話と言う話は無いので「作品の基礎」と言った方がよろしい)をしっかり固めている。ここら辺で筆者がこの作品を「分かっている」と表現する所以です。

役所広司の演技も素晴らしい。役所はこの作品で第76回カンヌ国際映画祭・男優賞を受賞している。

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そして、この映画は観光映画としてしっかり立っています。基本的に東京の東地区下町周辺、それと渋谷の最新トイレも描かれていますから東京西も表現されていることになる。

この映画が切っ掛けか、もしくはこの作品以前の東京トイレ設置プロジェクト『THE TOKYO TOILET』から始まったのか、実際に東京のトイレ見学ツアーがあるとのこと。

***** 下記、内容に触れます。一応、ネタバレ注意喚起









筆者が特に感心したシーンは、小さな居酒屋でママが歌うシーン。この歌が上手い、こぶしが効いてしみるしみる、まあそりゃそうだ、ママを演じるのは、石川さゆり、プロの歌手だもの。ところがだ、ところがですよ、日本人のこちとらとしては、この歌ってる女性が石川さゆりで日本の有名な歌手であることを知ってるのに、にも関わらず、歌ってるのはそれまでの人生を背負ってきた初老女性の居酒屋のママなんだよ。

これはどうゆうことなんだろう。演出力の技なのか? 演技力?と言うのも歌ってるんだから歌唱力? え?それ演技力? セットの作り方というのもあるけどもそれは状況設定だろうし、キツネにつままれた気分。マジックです。

映画『PERFECT DAYS』は、筆者が初めて経験したマジックな映画でした。

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「ボンド映画」「映画音楽」の長年のファンです。

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