
・上記、映画『好奇心』より
「ブノア・フェルー論」なんて文面書いてんの日本じゃ筆者だけじゃないかと思いますわ。世界に目を向ければ、まあいるかもしれないが、マイナー中のマイナーでしょうね。
で、ブノア・フェルーって誰だそりゃ?って大方の日本人は思うと思いますよ。えーとですね、1971年のフランス映画・邦題『好奇心』の主演の子役です。当時、14,5才でしたね。
名匠ルイ・マル監督作品『好奇心』は名作で、今でもDVD等のメディアは比較的容易に手に入ります。配信は現時点(2025年)では見当たりませんでした。
『好奇心』については「男の裸が見られる映画」に書いてますので続きはそちらでご覧ください。
とにかく、その映画の主人公の少年がブノア・フェルーなのです。が、その後、ブノア・フェルーの名を掲げた映画は1本も日本に入っていない。筆者が知る限りでは無いし、もしあったとしても知り得る映画ではないはずです。
・好奇心[HDマスター] ブルーレイ
ですので、映画『好奇心』に一時でも惹かれた日本人は、「あの主役の男の子はルイ・マル監督にいいように扱われて捨てられたんだな」「芸能界は『好奇心』1本で、その後は普通の人なんだろうな」と思って当たり前です。筆者も基本的にはそう思ってました。
さて、それが今回、引っ繰り返るんだわ。
そしてこの文面は大幅に回り道をしますが、最後にはくっつきますのでご安心ください。
まあ、大したことを申し上げてはいませんから、余裕がある方のみお付き合いいただければ結構でございます。恐縮です。
******* 『007/ムーンレイカー』の2枚組サウンドトラックCDを購入する。
映画『007/ムーンレイカー』は1979年公開の007シリーズの1作’(11作目)。筆者はすでに通常版のサントラを所有していましたが、2025年、作曲家ジョン・バリー(故人)のこの名盤が「2枚組」で新発売、それも未発表の曲、未収録の曲も入ってるってことなので、これは欲しくなるわ。ただし高い! 9千数百円! CD流通業もサブスクやYouTube著作権無視などの影響で、こういう企画もので高額にしないとやってっけないんだろうね。
オリジナル・サウンドトラック 007/ムーンレイカー<限定盤>

この『007/ムーンレイカー』の2枚組、しばらく他店などの値動きやYouTubeの動向などを見ていましたが、値段は動かず、そうこうしてるうちに、安めの同輸入盤(8千数百円)が売り切れになった。しょうがないです、タワーレコードから日本盤(と言っても輸入盤と同じ)をクーポン引きで9300円で買いましたわ。こんな高いCD買うの初めてですよ。
ということで、CD自体は満足、出費はまあいいでしょう。もちろん曲を聴き込みます。そして第1曲目、タイトル前のアクションシーンの曲ですね、ふと思い出した。「このスペースシャトル強奪シーンにブノア・フェルーにそっくりな俳優が出てたのではなかったか?」と。
*******
映画『007/ムーンレイカー』は1979年の劇場公開時に見ていますが、当時はビデオとか2次メディアは普及していない時代、映画館で見るしかないです。筆者が「ブノア・フェルーに似た俳優」を認識したのは、2000年頃に同作品のDVDを購入してからのことですよ。
当時(DVD購入の2000年頃)「あれ?」と思ったので、当時のネットで検索しましたよ。『007/ムーンレイカー』にブノア・フェルーが出演しているというデーターは無く、ブノア・フェルーのフィルモグラフィーには『好奇心』しか出てない、当時はね。
映画『007/ムーンレイカー』はフランス資本も入ってる作品なので、フランス人俳優が出演していても不思議ではない。敵役のマイケル・ロンズデールはフランス人だ。まあしかしデーターが無いんだから「似た俳優」ということで諦めていた。つまり前出の「ブノア・フェルーの芸能界は『好奇心』1本で、その後は普通の人なんだろうな」と思っていた訳です。先日までは。
007/ムーンレイカー<デジタルリマスター・バージョン>

******* AIチャットとの論争
ここでくどいようですが、筆者の認識を時系列にまとめます。
・1971年・劇場で映画『好奇心』を鑑賞、子役・ブノア・フェルーを認識
・1979年・映画『007/ムーンレイカー』を劇場で鑑賞。ブノア・フェルー似の俳優には気が付かず。
・2000年頃・DVD『007/ムーンレイカー』を購入。冒頭シーンにブノア・フェルーらしき俳優を認識、調べるが無駄に終わる。
・2025年・サントラ『007/ムーンレイカー』2枚組購入、未発表曲を聴き該当シーンで「ブノア・フェルーらしき俳優」を思い出す。
まあこういう経緯ですわ。
過去に調べて無駄に終わったのですから、DVDは手元にありますが見返すまでも無い、しかしまあ、思い出しちゃったんだから気軽に「AIチャット」にでも訊いてみるか、と始まったのが大変なことになるんです。
細かく言いませんが、AIチャットとの喧嘩だね、「馬鹿かお前は!(筆者の発言)」「そういう言葉は止めてください(AIチャットの発言)」、こんな感じで1日1時間、3日間ぐらいやってましたよ。
長くなりますから結論を言うと、筆者がネットで調べて、それをAIチャットに教えて、「貴重な情報をありがとうございました(AIチャットの発言)」ということになったわ。
話逸れますが、筆者のスマホのAIチャットの欠陥は「1日前に話した内容・情報をすっかり忘れてる」ということ。重大な欠陥ですね。その時だけの情報で1回だけ答えを出して終わり。で、その答えを忘れちゃう。それと、外国人名を認識できない。有名人ならすぐ分かるだろうが、「フランスの監督・ルイ・マル」と言っても「大丸監督はいません」とか答える。「ブノア・フェルー」を認識させるのも大変だったわ。日本独特の邦題『好奇心』も理解しない。「amazonを見ろ!」と言いましたわ。
それとAIチャットは堂々と嘘をつく。ブノア・フェルーのフィルモグラフィーに名作『ジュリア』やアラン・ドロン主演の『フリック・ストーリー』とか挙げてきて、双方とも筆者は鑑賞済みで「え?どこに出てるの?」と問うと、それらしいシーンを答えるんですよ。配信で再確認しようとしましたわ。追求すると結局間違い。「申し訳ございませんでした(AIチャットの発言)」ということなのです。
つまり気軽に始めたAIチャットのやりとりで、結局は、筆者自ら、ネットを駆使して「ブノア・フェルー」を調べることになったというわけです。そのつもりは無かったのだが。そして新たなことが分かった訳です。

・ブノア・フェルー氏・フェイスブックより
******* ブノア・フェルー(2025年時点で69才)の俳優人生
まず重要なことを先に言っちゃいましょう。
映画『007/ムーンレイカー』(1979)に俳優ブノア・フェルーは出演しています。ただしノンクレジット。これは普通に調べても出てこない。フェルー氏、24才頃の出演ですね。短いシーン(1分ほど)ですが、しゃがみ込み(忍び込み)カット全身、運転席座り・顔ミドルショットの2カット映り、ジャンボジェットで運搬中のスペースシャトルを空中で強奪するという重要なシーンです。
つまり、2000年頃の筆者の眼力は正しかった訳。
今回(2025年)の調べ方は、ブノア・フェルーのフランス原語・Benoît Ferreux で調べた事。カタカナでブノア・フェルーと調べても今でも日本のネットでは、ほぼ『好奇心』が出るだけです。
さて『007/ムーンレイカー』出演情報ですが、2つのサイトが出て来ました。双方とも「ノンクレジットで出演」とあります。原語サイトをそのままリンクしますのでブラウザ翻訳等でご覧ください。
●Benoît Ferreux - IMDb
1979『ムーンレイカー』 ムーンレイカー・パイロット (クレジットなし)
と表記あり。
●ムーンレイカーファイブパイロット _ジェームズ・ボンドWiki _ファンダムこちらのサイトは「007のトリビア」サイトのようです。写真付きでそこそこ詳しく書いてあります。「このパイロット役は1979年の映画『ムーンレイカー』でヒューゴ・ドラックスの下で働いていた無名の子分だった。彼はフランスの俳優ブノワ・フェリューによって演じられました」(日本語訳)と表記あり。
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『007/ムーンレイカー』出演については長年の溜飲が下がったこととなりましたが、同時に俳優ブノワ・フェルー氏のフィルモグラフィーがドーンと突きつけられることとなりました。
フランス語、英語のwikiにも『007/ムーンレイカー』は載っていて、それはもう小さな話で、俳優ブノワ・フェルーの多岐にわたる芸能活動が、1990年代に10年ほどブランクはあるものの、デビューの『好奇心』以降、ほぼ1年に1作の映画出演、iMDb に拠ると2014年までTV、舞台を含め活躍している。現地フランスのwikiには、短編、ドキュメンタリーの監督作品が8本ほど載っている。英語のwikiには2025年(69才)現在も活動継続中と記載されている。
まあ驚きましたね。日本では『好奇心』だけで終了みたいに受け止められていた人物が本国フランスでは、あれ以来、フィルモグラフィー豊富の現役だって言うんですから。
ただし、作品1本1本を確認すると、主演級俳優に名前が挙がってない。ほとんど役名は無く、「ボクサー」だったり「怒れる男」だったりと、ほとんど端役、エキストラ以上、主役脇役以下といった印象です。決定的なのは世界中の画像を拾うはずのグーグル画像検索「Benoît Ferreux」で検索しても御本人らしき映画のカットが出ない、御本人がやられているだろうフェイスブックの画像だけでした。
またもちろんほとんどの作品は日本に入っていないし、日本語字幕で配信が見られるのかどうか定かではありません。ですので、彼がどういう俳優人生を送ってきたのか論評できる立場とは言えないでしょう、筆者は。
ただ、日本に入って来て、劇場公開し、メディア、配信等で俳優ブノワ・フェルー氏を鑑賞できる作品を確認することは出来ました。せめてそれをリストアップしましょう。
・1971年『好奇心』役名/ローラン
・1979年『007/ムーンレイカー』パイロット#2(ノンクレジット)
・1981年『勝利への脱出』役名/ジャン=ポール・レミ
筆者が調べた限りでは以上です。『勝利への脱出』は確か劇場で見ていますがフェルー氏の認識はありません。配信等で確認可能ですが遠慮させてください。
さて、『007/ムーンレイカー』の件が明確になりましたので、筆者の部屋の棚からDVDを引っ張り出して再見してみました。確かに記憶のシーンは記憶のとおりなのですが、今の目からではこの俳優がフェルー氏だとは気が付きませんね。あらためて2000年時によくブノワ・フェルー氏と見抜いたと思いますわ。過去の自分に自画自賛です。
フランスの名優「ジャン・ルイ・トランティニャンの甥」という情報もありましたが鵜呑みにはしていません。他にも「甥」だという俳優も居ますし、息子ならともかく、甥だ従弟だ孫だとかは御本人のアイデンティティとは別物だと思いますから。

・ブノア・フェルー氏・フェイスブックより