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サントラ・ジェームズ・ボンド・映画音楽アートの研究・映画コラム

「ジェームズ・ボンド映画」のサントラを中心に、映画音楽、映画批評、アートなどを述べていきます。映画コラム・写真集などあります。

ロシアより愛をこめて

●ロシアより愛をこめて From Russia with Love  の音楽について
●タイトルバック 
 ・ロシアより愛をこめて(インストメンタル) ・ジェームズ・ボンドのテーマ 
 有名な歌唱曲の「ロシアより愛をこめて」はタイトルバックには使われてはいません。ジョン・バリーが編曲したインストメンタルです。
 中盤からは、「ドクター・ノオ」で演奏されたジェームズボンドのテーマのサビの部分を「ロシア」ヴァージョンで演奏されています。
●挿入歌
 ・ロシアより愛をこめて
 ボンド登場、初盤にラジオから聞こえてくる。
●ラスト曲
●全18曲
●極私的アルバム評価  
★★★★★
 ・ロシアより愛をこめて
 有名な、と言うか、ムードミュージックの代表格となった「ロシアより愛をこめて」がラストのベニスのシーンでかかります。
 「ロシアより愛をこめて」の作曲は、ライオネル・バート。歌はマット・モンローです。

●「ロシアより愛をこめて」サントラについて
 まずタイトルバックの「ロシアより愛をこめて」ですが、ジョン・バリー作曲ではありません。ライオネル・バートです。このライオネル・バート作曲の歌唱曲は、ラストで歌われます。
 ライオネル・バートはこの「ロシア」の後、「オリバー!」(1968年)で全曲を担当し評価され、資料によると「黒馬物語」 (1970年)や別れの街角 (1973年)などで地道な映画音楽活動をしています。

 タイトルバックの「ロシアより愛をこめて」は、ジョン・バリーが原曲を思いっきり編曲して、パンチの効いたインストメンタル曲にしています。特にイントロの「ジャカジャカジャン、ジャカジャカジャン」というオリジナルの4小節は、ボンドのテーマに変わる「ボンド映画」の代名詞として使われることが多くあります。

 「ロシアより愛をこめて」の歌唱曲に有名なノイズが入る問題ですが、曲編集加工スタジオ作業時に、別トラックの音声が早回しで入れ込んでしまったと聞いています。

 このサントラは2000年代に「007シリーズCD」ヴァージョンアップのラインナップから外れ、LPレコードと同じ曲数、曲構成になっていますが、映画本編の音楽はほぼ網羅されているので、問題ないでしょう(ガンバレルや一部の劇中曲は入ってません)。

 007映画の第二のテーマ曲とされる、「007」の曲も「007」とロングヴァージョンの「大団円」に2曲に渡って使われ聞きごたえがあります。

 インストメンタルにしたムードミュージックの「ロシアより愛をこめて」ですが、このサントラにも入っています。この曲、ジョン・バリーのベストアルバムなどで、バリーが当然のように演奏していますが、実はバリーの曲ではないのですが・・。いかにもバリーは自分の曲と思い込んでるように見えます。

●「ロシアより愛をこめて」作品内の曲について 
 一言でいえば、「ジョン・バリーはこの時点でもう出来上がってる」ってことですよね。バリーは、「ロシア」より前に「ドクター・ノオ」に関わってはいますが、表には出ていません。また、「ロシア」より前に数本の映画音楽を担当してますが、「ロシア」のようなサスペンスアクションものは、メイン作曲家としては初めてのはずです。それがこの上出来ですよ。

 モンティー・ノーマン作曲とされる「ボンドのテーマ」も効果的に使い、独自の「007」の曲の発表、「ロシア」のメロディもムードあるシーンで使っている。

 プレタイトルでの「忍び寄り」でジャジャッジャン!と盛り上げて、「1分52秒すばらしい」で、タイトル音楽、絶妙です。
 「ロシア」でのバリーの仕事ぶりは、シーンに音楽を入れることもさながら、シーンとシーンのつなぎに音楽をかぶせていること。それがいい効果を上げている。まあこれは編集のピーター・ハントとの阿吽の呼吸とでも評しましょうか。

 後にバリー自身が「メロディが無い曲は考えられない」と言うように、この作品でも、スペクターのテーマを初め、どのシーンの曲もメロディがしっかりしている。
 バリーの特徴的な曲の入れ方で、オリエント急行でのグラントが汽車の中、ボンドが駅内を歩く、グラントの画面で「パオ!パオ!」と効果音的な音楽。


 「ドクター・ノオ」の基地脱出シーンの音楽が、この「ロシア」、終盤のヘリ射撃シーンとボート炎上シーンに使われています。メイドに化けたローザ・クレップ大佐の靴からナイフが出るところの音楽も絶妙です。
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