サントラ・ジェームズ・ボンド・映画音楽アートの研究・映画コラム
「ジェームズ・ボンド映画」のサントラを中心に、映画音楽、映画批評、アートなどを述べていきます。映画コラム・写真集などあります。
●タイトルバック | |
・The Living Daylightsl 主題歌・a-ha | |
前作デュラン・デュランとのコラボで大成功したイオンプロは、当時、新進気鋭のノルウェーのa-haとバリーを組ませた。これはバーバラの発案と聞いています。結果2つのバージョンが存在するが、本編用は名曲。これについては後述します。 | |
●挿入歌 | |
・Where Has Everybody Gone 歌・プリテンダーズ | |
ジョン・バリー作曲。敵のネクロスが首にかけているウォークマンより聞こえる曲。ネクロス絡みのアクションシーンにも編曲されインストメンタルで流れる。 | |
●ラスト曲 | |
・If There Was a Man 歌・プリテンダーズ | |
ジョン・バリー作曲。シリーズ中、初めてラスト曲が独立して作曲、歌われた。 |
●「リビング・デイライツ」サントラ、作品内の曲について |
長年、007シリーズに貢献してきた作曲家ジョン・バリーは、今回の「リビング・デイライツ」で、007を引退すると宣言、「もう卒業しても良いと思う」といったような本人の言葉は、「リビング・デイライツ」に取り掛かる前だったのか後だったのかは、筆者(youon)は知りません。いずれにせよバリーの007シリーズの仕事はこの「リビング・デイライツ」が最後となり、同時にシリーズ上位に来る傑作アルバムに仕上りました。 バリーは「リビング・デイライツ」の仕事、87年時以降、ムーディーな作品で賞を取ったりしたが、アクション系は「スペシャリスト」のみで、いまいち精彩に欠け、90年代は作曲したが不採用が数本あり、実質パンチの効いたバリーのアルバムは、「リビング・デイライツ」で最後になったと言ってもよろしいのではないかと思います。 今作品「リビング・デイライツ」主題歌作曲における、バリーとa-haの確執は有名で、音楽性の違いやスケジュールなどの音楽以外での対立の話も耳にしました。アカデミー賞を何度も取ってる大家のバリーと人気上昇中とは言えひよっこa-haとの単純に格の違いだったのではと推測します。 筆者(youon)は聞いてはいませんが、a-ha版の「リビングデイライツ」は、スローバラードといった曲とのことで、それを考えると、バリーの得意な、ジャカジャン!という合いの手のような編曲は当時の若者にはダサく映るでしょう。a-haが指名されてから、関係者(バリー本人だったか?)がa-haのコンサートへ視察に行ったところ、客はティーンの女の子ばかりで、『これは人選を間違えたかも・・』と思ったとのこと。a-ha版も聞いてみたいところです。 さて、このアルバム「リビング・デイライツ」の成功ですが、まず、主題歌を共作とは言えバリーが作曲したこと。これにより、この「The Living Daylights」のメロディ、曲要素を本編で堂々と使えることになる。そして次が今回の「リビング・デイライツ」の面白いところで、大抵、バリーは主題歌をインストメンタルにし、ムードあるシーンで使うのですが、今回はアクションシーンに使いました。そしてそれがいい効果を上げています。 今回、バリーは、「The Living Daylights」、ロック調の「Where Has Everybody Gone」、ムーディーな「If There Was a Man」の3曲を歌唱曲として作曲しています。そしてそれらを、前出のように「The Living Daylights」を編曲し、ボンドをメインとしたアクションシーンに、「Where Has Everybody Gone」を編曲し、敵方を交えたアクションシーンに、「If There Was a Man」をボンドガール、カーラが絡むムーディなシーンに編曲して使用しています。 そして、特にアクションシーンにはボンドのテーマも加わり、完成度の高い作品に仕上げており、相当、力(ちから)を入れてる感じが伝わってきます。 ボーナストラック盤サントラで、本編の音楽はほぼ捉えられており、サントラに入ってない本編にある曲は下記の2か所だけです。 ・タンジールのホテルの部屋でソ連高官にボンドが銃を向ける短い曲=すぐに「The Living Daylights」のアレンジに変わる。 ・ソ連基地で輸送機にボンドが乗る短い曲=すぐに「Where Has Everybody Gone」のアレンジに変わる。 |
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