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サントラ・ジェームズ・ボンド・映画音楽アートの研究・映画コラム

「ジェームズ・ボンド映画」のサントラを中心に、映画音楽、映画批評、アートなどを述べていきます。映画コラム・写真集などあります。

「ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル」の音楽について

● Mission Impossible-Ghost Protocol Soundtrack
 Michael Giacchino
「ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル」サウンドトラック
 マイケル・ジアッキノ


  まず筆者(youon)は、「ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル」のサントラ盤を所有しておりません。したがいまして、この記事を書くにあたって、録画してある本編を音楽に注視して再見しました。

 じらすような文を書くのは不本意ですので、先に結論申しましょう。マイケル・ジアッキノの手腕は「3」の時よりも確実に上がっており、ジアッキノのオリジナル旋律も要所要所で聞かせ、映画音楽の仕事としては、作品自体を盛り上げる上等な仕事をしています。

 では、なぜ筆者(youon)はサントラを所有してないのか?と訊かれれば、「筆者(youon)にお金が無かったから」が正直な答えでしょう。じゃあお金をあげるからこれを買え、と言われたら、う~ん、違うモノ買ってしまうかもしれません。

 つまり、映画音楽の上出来さは全面的に認めますが、購買につながる突き抜けた魅力があるかと言うと、突き抜けてはいません。やはりシフリンの”縛り”があるのかもしれません(「スパイ大作戦のテーマ」より目立ってはいけない)。

 そこら辺が、2011年の「ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル」におけるマイケル・ジアッキノの立ち位置でしょう。良い言い方をすれば、映像の邪魔をせず、音楽が出しゃばらず、「スパイ大作戦」のブランドを崩さずに、的確な仕事をした作曲家、それはマイケル・ジアッキノであるということです。

 ちなみに「ゴースト・プロトコル」のサントラ販売サイトでは、作曲者表記を「ジアッキーノ」ではなく、「ジアッキノ」になってますので、こちらもそれに準じます。
 また、どの販売サイトも、「Soundtrack サウンドトラック」と書いてありますが、当該ジャケット表示には、「MUSIC FROM THE MOTION PICTURE」とだけ書いてあります。普通、「オリジナル・サウンドトラック」とか「スコア」とか書きますよね。まあ、所有してないんでこれ以上突っ込みません。

 さて、またもや前置きが長くなりました。本編の音楽です。
 この「ゴースト・プロトコル」、作品の映像の中の80%ぐらいは音楽がのっているのではないでしょうか。それだけ音楽が作品をしっかり支えています。

 そして今回のジアッキノの仕事は「3」の時のような「精一杯な仕事感」とは違って、今回の「ゴースト・プロトコル」では、舞台になる場所ごとにそれに合った旋律を聞かせるなど、余裕さえ感じられる仕事の仕方をしています。

 まずタイトルバックの音楽は、「スパイ大作戦のテーマ」です。これはこのシリーズの”縛り”ですね。別のテーマ音楽が出てくるのは、まず考えられません。「スパイ大作戦のテーマ」をどういう風に聞かせるか(編曲するか)でしょう。
 今作では、ジアッキノが「スパイ大作戦のテーマ」を比較的静かな感じで編曲し、ジアッキノ独自の旋律も少々聞かせて、上品に仕上げています。

 各舞台(シーンの場所)のそれぞれのテーマ曲ですが、モスクワならロシアの軍歌風な曲をつけ、ドバイは中東風からアクションシーンもドバイの旋律で突き進みます。
 ムンバイ到着は、「スパイ大作戦のテーマ」をインド風にアレンジ、そのまま途切れることなくパーティ会場のフロアダンスの音楽に、そしてアクション前のスリリングな音楽へと繋いでいく。これだけでもジアッキノの実力の余裕が受け取られます。

 ラストシーンは「3」ですでに登場しているラブテーマで閉め、エンドタイトルは、ムンバイのテーマ、モスクワのテーマ、ムンバイのフロアダンス、ドバイのテーマといったメドレー。そして「スパイ大作戦のテーマ」でバッチリ決めて終わりです。見事です。


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http://youon.ikidane.com/
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「ボンド映画」「映画音楽」の長年のファンです。

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