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サントラ・ジェームズ・ボンド・映画音楽アートの研究・映画コラム

「ジェームズ・ボンド映画」のサントラを中心に、映画音楽、映画批評、アートなどを述べていきます。映画コラム・写真集などあります。

サンダーボール作戦

●サンダーボール作戦 Thunderball  の音楽について
●タイトルバック 
 ・サンダーボール ・シンガー、トム・ジョーンズ
 当初、ジョン・バリーは、「ミスター・キスキスバンバン」の曲でタイトルバックを作り、ビンダーもその曲に合わせタイトルバックをデザインしたが、試写後、プロデューサーより「サンダーボールのタイトルが出るところで”サンダーボール”と歌わせるべき」ということとなり、急きょ、バリーは「サンダーボール」の曲を作曲、入れ替えた。「ミスター・キスキスバンバン」と「サンダーボール」の曲の長さは完全に一致する。
●挿入歌
 ・ミスター・キスキスバンバン(インストメンタル)
 ボンドが逃げ込んだ屋外ダンスホールでかかる曲。
●ラスト曲
●全12曲
ボーナストラック入り盤、全18曲
●極私的アルバム評価  
★★★★
 ・ジェームズ・ボンドのテーマ
 ラストに掛かる音楽は、上映時、ビデオ版、DVD版と違います。上映時、ビデオ版では、サントラ盤に入っているアクションからの繋がりのバリーの曲で終わります。DVD版、wowow放送版では、ジェームズ・ボンドのテーマに差し替えられています。 

 左の画像は、筆者(youon)が1980年代に買った「サンダーボー ル」のサントラLPレコードです。内容はそれまで発売されていたLPと同じで、ボーナストラックなどは入っていません。ジャケットデザインが違うだけです。

 ジャケットには下のようなシールが貼ってあります。1987年時の再発売シリーズと思われます。


 サウンドトラックアルバムとしては、ボーナストラックなどが入っていないため、いささか消化不良感があります。
●全12曲
●極私的アルバム評価  
★★★

●「サンダーボール作戦」サントラについて
 「サンダーボール」のサントラを語る場合、ちょっと複雑です。まず、当初から発売された「12曲入り」の盤ですが、これは劇場公開と同時発売に間に合わせるため急いで作成された盤で、映画作品の主に前半の曲しか入っていません。
 その後、「007シリーズ30周年記念サントラ」で、ディオンヌ・ワーウィックが歌う「ミスター・キスキスバンバン」(本来この曲がタイトルバックだった)、シャーリー・バッシーが歌う「ミスター・キスキスバンバン」(バリーがサンプルとしてバッシーに歌わせたのか?)、そして収録されている「Thunderball Suite」で、21分強に渡り、従来のアルバムになかった曲が披露されます。ガンバレルの曲も入りました。

 そしてさらにボーナストラック盤で、6曲、それまで無かった曲が聞かれます。ボーナストラック盤でもガンバレルが入りますが、「30周年記念サントラ」では、ガンバレルの後バハマの海中シーンの音楽になり、ボーナストラックでは、ガンバレルの後、リハビリ施設のボンドピンチの曲に繋がります。実際の映像作品ではガンバレルの後、音楽はありません。

 上記のように1つのアルバムではなく、全体として、「サンダーボール」のサントラを語るならば、音圧と言うか、グイグイ押してくる迫力の音楽ですね。それは聞かせます。が、「時間がなかった」とバリーが言うように、それぞれ似たような曲になり、1曲1曲への詰めが甘く、若干、手抜きのような印象もあります。
 多分、後日のあらためて収録されたと思われる「Thunderball Suite」の21分の迫力は、21分間飽きさせません。素晴らしい出来です。


●「サンダーボール作戦」作品内の曲について 
 「サンダーボール作戦」の製作自体が、”押していた(封切り日に間に合わせるため急いで作ってる)”ということですね。音楽もバリーが「時間がなかった」とビデオコメンタリーで言っています。実際、作品自体も編集が雑だったり、ラストのエンドタイトルも明らかに変です(変なところでオーバーラップしてる)。

 作品自体が上記のような状態なので、どうりでと言うかなんと言うか、なんと本編の音楽が途中でブチ切れたりする箇所が数か所あるという状態。音楽をまともに聞かせるといった作品にはなっていません。前作の「ゴールドフィンガー」とは大違いです。

 当然、サントラ盤にある曲を綺麗に聞けるような状態ではなく、部分部分が、画面に合わせて浮かび上がっては消えてしまうという音楽の使い方。最終的に誰が作業したかは不明ですが、バリーの本意ではないでしょう。

 つまりは、「時間がなかった」ということですが、そりゃそうでしょう。始めに予定していた「ミスター・キスキスバンバン」が外され、本編もまだ出来上がってないまま「サンダーボール」を作曲し、トム・ジョーンズに歌わせて、多分、その後で、ところどころ出来上がった本編シーンの音楽を作曲したのでしょうから、まあそれは、さぞ、大変だっただろうと推測します。
 ですので、作品内の曲として「サンダーボール」を評価するのは、ちょっと”酷”なんじゃないかと思います。
 ただ驚くことに本編には、どのサントラでも聞かれない曲があるということですね。例えばボンドがフィオナの車に乗せられて猛スピードのシーンの音楽はどのサントラにもありません。

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http://youon.ikidane.com/
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「ボンド映画」「映画音楽」の長年のファンです。

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