●「ダーティハリー」Dirty Harry シリーズの音楽について・その2
さて、「その1」にも書きましたように、なかなか出ないんですよ、1本1本のサントラが・・。
1971年の「ダーティハリー」公開から十数年経ってやっとベスト盤・・。
それが、”急に思い出したように”、2000年代だったでしょうか、「ダーティハリー」、「1」から「5」、シリーズ全てが、順番にでしたが全て出た。あれだけのヒット作、30年以上時を経て出すかい?と喜びよりも呆れたのが先でしたね筆者(youon)は・・。どうもシフリンのレーベル、Aleph Recordsってのが出来たかららしいですが、もちろん全部、引っ掴むように買いましたわ。
まあ、全作、「完全版」と言ってよろしいでしょうね。「1」のセリフや「4」の歌唱曲は入ってませんが、全て「スコア」です。つまり正確にはサントラではない。映画本編の音源そのままではないということ。本編音源忠実に再演奏した盤ということです。これで「その1」で申し上げたベスト盤2枚含めて、これ以上のコレクションは有り得ないでしょう。紙ジャケット仕様の「ダーティーハリー」完全版というのもあるようですが、下記の盤に練習音響が入ってない盤のようです。
では1作目から寸評含めてご紹介しましょう。
●「ダーティハリー」完全版
DIRTY HARRY THE ORIGINAL SCORE BY LALO SCHIFRIN
オリジナルスコア
作曲 / Lalo Schifrin ラロ・シフリン
●全22曲 43分
●極私的アルバム評価
★★★★★
・シフリンが一番油が乗ってる時期の作品ですから、推して知るべしであって、ノリノリです。旋律が完成されてない上品なメインタイトルよりも、サソリのテーマとも言える音楽がグイグイ来ますね。スコープを覗き狙いを定める映像を盛り上げている。
メインタイトルは本編では前後に分かれてますが、このスコアではくっつけてます。と言うかくっつけないと1曲になりませんし、どのヴァージョンもくっつけてます。もし本編どうりに作るとしたら、排気口の音のSE入れないとね。
●「ダーティハリー2」完全版
MAGNUM FORCE THE ORIGINAL SCORE BY LALO SCHIFRIN
オリジナルスコア
作曲 / Lalo Schifrin ラロ・シフリン

●全22曲 51分(某所に124分と書いてあったけど間違いでしょう)
●極私的アルバム評価
★★★★★
・「燃えよドラゴン」の後か前か、いずれにせよ同時期、「エクソシスト」でシフリンがフリードキンからえらい目に合わされたのもこの時期のはず。筆者(youon)はこの時期が、60年代のTV、「スパイ大作戦」から、2007年の「ラッシュアワー3」に至るシフリンの長い映画音楽仕事のピークだと思ってます。70年代初頭の頃ですね。
「ア、アーア。アーアーアー!」のテーマ音楽のカッコ良さは当時の語り草でした。シフリンの実験精神と言うか、「ブリット」の追尾シーンに匹敵する音楽の思い切りの良さ。主張性とでも言いましょうか、音楽が映像を引っ張っているいい時代ですよ。
今作品では、ハリーのテーマと共に、マグナムフォースのテーマも旋律で出して来ます。
●「ダーティハリー3」完全版
THE ENFORCER THE ORIGINAL SCORE
BY JERRY FIELDING
オリジナルスコア
作曲 / Jerry Fielding ジェリー・フィールディング

●全13曲 40分
●極私的アルバム評価
★★★★★
・この「3」だけ音楽はジェリー・フィールディングの担当です。イーストウッド=マルパソプロとは、「アウトロー」、「ガントレット」などで組んでいます。
実はその後に表面化するイーストウッドの音楽性は、シフリンよりもフィールディングの方が近いのではないかと感じます。
フィールデングはとにかく正統派ジャズですね。この「3」でも全編ジャズで押しています。メインタイトルのカッコ良さは、シフリンとはまた違ったジャズのノリで聞かせます。
その中でも6分間3部構成に渡る「Rooftop Chase」のノリの良さは素晴らしく、さらには映像にもピッタリ合ってるという完成度の高さ。コミカルなムードも盛り上げている。本編とは若干演奏が違いますが問題ありません。正統派ジャズを全く同じに演奏するのは無理な話でしょう。
●「ダーティハリー4」完全版
SUDDEN IMPACT THE ORIGINAL SCORE BY LALO SCHIFRIN
オリジナルスコア
作曲 / Lalo Schifrin ラロ・シフリン

●全22曲 43分
●極私的アルバム評価
★★★
・ん?どうしちゃったのでしょうシフリン。もう「1」や「2」のノリはありません。今作「4」の内容自体が、女性の復讐劇というサスペンス色が強いためか、シフリンが得意だったアクションシーンの盛り上がりは聞かれません。キューキューといった暗めのサウンドは映像に合わせているとは言え、曲として楽しむことは難しいでしょう。
警察無線のSEを入れたメインタイトルはシフリンらしさがありますが、本来のシフリンであれば、SEに頼らなくてもカッコ良い曲は作れたはずです。
●「ダーティハリー5」完全版
THE DEAD POOL THE ORIGINAL SCORE BY LALO SCHIFRIN
オリジナルスコア
作曲 / Lalo Schifrin ラロ・シフリン

●全12曲 40分
●極私的アルバム評価
★★★
・メインタイトルはシフリンらしくカッコ良さげです。ただ普通。アクションシーンはシフリンらしくそれなりに盛り上げていますが、どうも力が入ってない。
本編のアクションシーンそのものもミニーカーの追跡で、音楽でミニカーを表現しちゃうから、なんかスケールの小さい曲作りになっちゃいました。
相棒の中国系刑事のクンフーアクションも、いわゆる欧米人が考えるアジア人クンフーサウンドで肩透かしです。
残念ながら往年のシフリンはもう見られません。この頃(1988年当時)シフリンは映画の仕事を大幅に減らしています。10年後(1998年)の「ラッシュアワー」での復活まで待つことになります。
『ジェームズ・ボンドとシリーズ映画・批評エントランス・』TOPへ