当「映画コラム」としては久々の男の全裸です。一般映画として公開されたサスペンス映画。34分という短編ですが、話は引き締まって一応良く出来てる。「一応」と言うのは、殺人事件の再現フィルムとして、押さえられているところは押さえていて、きちんと見られるということ。
さてそれが感動を呼ぶかとかグッと来たとか、そこまでは言えませんね。
監督は近年評価された長編サスペンス「さがす」の片山監督。筆者にとって「さがす」はさほど高い評価をしませんが、今作品「そこにいた男」と共通することは、実際の事件を題材にしてること。「さがす」は自殺志望者を連続殺人した実際の座間市の事件。「そこにいた男」は、新宿ホスト殺害未遂事件。共に近年の事件だ。
「そこにいた男」はサスペンスとされているが、分類上そうなっているだけで、正確に言えば「男女愛憎殺人事件再現映画」でしょう。それが短編ながらもしっかり立っているのは、なにはともあれ男を演じた安井秀和の熱演です。
全裸の状態で腹を包丁で刺され、血を流しながらのたうち外へ逃げようとする。刺されてから３分ほどあるシーン。他の映画で刺されるシーンはよくあるが、普通すぐうずくまってしまうとか、カットが変わって別視点になるとかで、ここまで全裸で長い描写は初めて見ました。これだけでもこの作品の評価は高い。
他にも男（役名・翔）の全裸シーンはあり、本編３分の１ぐらいは全裸ショット。ところどころ股間にはボカシが入る（３ヵ所ほどと記憶します。邦画なのでしょうがないです）。ケツはまるまるいたるところで見え、ネット上の映評などでは「男のケツばかり見せるな」と文句を言う人もいる始末。綺麗なケツ、カラダで、まあ文句を言う人は感性の違いとしか言いようがないです。
部屋の外、マンションのエントランスに全裸血だらけの翔、死体置き場で全裸で晒されている翔（股間ボカシ）、確実に虚しさが表現されていました。安井秀和の力量を感じます。
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●配信
アマゾンプライム
■そこにいた男
アマゾンプライム直ページ
2020年/日本/34分監督/片山慎三出演/清瀬 やえこ, 安井 秀和, 中村 映里子ジャンル/サスペンス
深夜、とあるマンション内のエレベーターホールで血だらけの女（紗希）が座り込んでいる。煙草を吸いながらスマホで誰かに電話している。その横には、意識朦朧とした血まみれの男（翔）が倒れている。その光景にカメラを向ける住人ら、慌ただしく無線を飛ばす警官たち。取調室、二人の刑事と虚ろな目をした紗希がいる。柔和で悲しげな表情を浮かべながら、翔との関係を話し出す。
ふたりの出会いは2年前にさかのぼる。映画製作のスタッフで下働きをしていた紗希は、撮影現場で俳優の翔に出会う。連絡先を交換し、ほどなくしてふたりは、体の関係を持つまでになる。
紗希は翔を愛し、借金を重ね、番組の製作費を盗んでまで翔に身も心も捧げていた。だが、そんな翔に「もう一人の女」の影が…事件に至るまでの全貌が明らかになるとき、女たちの狂った「純愛のかたち」を知ることになる…（C）2020 CRG映画
