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サントラ・ジェームズ・ボンド・映画音楽アートの研究・映画コラム

「ジェームズ・ボンド映画」のサントラを中心に、映画音楽、映画批評、アートなどを述べていきます。映画コラム・写真集などあります。

空白

エロくも裸も無いのだから、yahoo!映評にでも書けよと自分(筆者ね)でも思いますが、自分のサイトに「映画コラム」があるんだからこちらに書かせていただきます。

まず、繰り返しますが、エロくも裸もありません。出演者にも筆者は色気を感じません。ではこの作品を述べる理由は何かと言うと、この作品は少なくとも近年の邦画史上における「極め付きな問題作」であるということですね。

万引き未遂(?)の女子中学生を追跡するスーパー店長(松坂)、中学生は車に2度轢かれ死亡。そこから父親、加害者、被害者、社会、マスコミ、ネット、それらの反応がリアルに描かれる。



あのー、先に筆者の意見を申し上げます。この映画の作り手は何を思ってこの作品を作ったのか? 一番しっくり来る解釈は、SMのSのご主人様(作り手)が、徹底的にM(物語)を虐めあげる、「それちょっとやりすぎ!」と言われて、ラストにちょっと手を緩めたってなところか?

物語には物理的、心理的に次々に悲惨なシーンが描かれていき、ラストに「締め」のように救いがある。ただし、その救いも問題の解決にはなっていない。死亡者は生き返りはしないし、潰れたものは潰れたまんまだ。

正直、面白かったですよ。楽しめましたよ。どこがと問われれば、その虐めっぷり、虐められっぷりですよ。そしてそのリアリティ。実際、似たような事件あったでしょう。それを真正面から誤魔化さずにリアルに描いてる。

それを楽しんでいいのか?という問いが生まれますよね。本当は楽しんじゃいけないと思いますよ。作品の出来は高いです。「良い」と言い換えてもいいが、どうもニュアンスが違う。この作品の作り方は映画の手法ですよ。ただし受け止められるイメージは、TVの「報道特集」とか「ドキュメント現代」とかそんな感じ。

【以下・ネタバレあり】

どこがリアルかと言うと、事故のシーンを文面で細かく描写します。あえて録画を見返せずに記憶で文面書きますんで、多少違うかもしれません。ご了承ください。

女子中学生が店長に追われて歩道を逃げる。歩道では追いつかれると思ったのか、車道を横切ろうと車道に出た途端、確か軽にはねられる。軽のフロントガラスが凹む。ガラスに血が見える。致命傷にならなかったのか、車道で身体を起こす女子中学生。頭からは大粒の血がボタボタと落ちる。放心状態の女子中学生に真正面から大型トラックが突っ込む。車道には、やっと停車したトラックの後方、20メーターぐらい、身体の幅の血の線が真っ直ぐに引かれる…。店長の表情…。

【ネタバレおわり】



まあショッキングな描写ですよ。他にも心理的にショッキングな描写も多々あり、引き込まれるっちゃそうなのだが、引き込まれていいものかどうか、繰り返しますが問題作ですよ。

そもそも死んだ女子中学生の父親役が、古田新太で実質主役、まずこの配役がビックリだ。集客をを狙うようなキャスティングではない。対するスーパー店長が松坂桃李で、彼が実質ウケ役だから、作品の骨格が成り立つんであって、寺島しのぶや片岡礼子らの名優が脇を固め、この作品を高く評価せしめている。

亡くなる女子中学生役の女優もハッキリ申し上げて可愛いとか綺麗とか表現する部類ではない。そこら辺もリアリティを高めている。

この配役の妙が無ければ、問題作通り越して、ショッキングなTVの実録再現フィルムに終わっただろう(それも放送できず)。

正直、筆者はWOWOWが取り上げるまでこの映画を認識していませんでした。wikiを見ると興行収入は1億数千万円で、ヒットしたような作品ではないでしょう。この映画のポスターも客を呼び込もうとしてるとは思えません。

ただ、筆者はこの作品を絶賛し、お勧めします。見てもらうべき作品だと思う。

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「ボンド映画」「映画音楽」の長年のファンです。

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